「既に建設業許可を持っているが、新しい業種の工事も受けたい」 「元請から他業種の工事の見積依頼を受けたが、許可がないと請けられない」 「業種追加って、新規許可と何が違うの?」

建設業許可の 業種追加 は、既存の許可事業者が事業拡大を進める上で必ずぶつかる手続きです。しかし——

  • 申請区分によって手数料が違う(50,000円 or 90,000円)
  • 追加する業種ごとに 専任技術者の要件 が異なる
  • 既存許可の残存期間によっては 「業種追加+更新」の一体申請 が有利
  • 審査期間は約 2〜3ヶ月
  • 書類不備で 業種追加のタイミングを逃す と、事業機会損失

といったポイントが多く、「新規許可の再来」のような本格的な申請手続きです。「サッと届出すれば追加できる」といった軽い手続きではありません。

この記事では、行政書士の視点から、

  • 業種追加の申請区分と手数料の違い
  • 業種追加に必要な要件
  • 手続きの流れと必要書類
  • 「業種追加+更新」の一体申請の活用
  • 実務でのスムーズな進め方

までを、実務で使える形で解説します。

1. 建設業許可の業種追加とは

建設業許可の業種追加とは

建設業許可は、29の業種 に分けられています(土木一式・建築一式・大工工事業・左官工事業・とび土工工事業・解体工事業など)。取得している業種以外の工事を 500万円以上(建築一式は1,500万円以上) で請け負うには、その業種の許可を追加する必要があります。

例えば、「とび土工工事業」で建設業許可を持っている業者が「解体工事業」の500万円以上の工事を請け負いたい場合、「解体工事業」の許可を業種追加 する必要があります。29業種の詳しい区分については、建設業カテゴリの建設業許可の29業種一覧の記事もご覧ください。

業種追加が必要になる典型的な場面

  • 元請から新業種の見積依頼を受けた
  • 事業拡大で扱う工事の幅を広げたい
  • 500万円未満の軽微な工事だけでは受注機会を逃している
  • 元請の要請で複数業種の許可保持を求められている

いずれの場合も、業種追加は事業成長に直結する重要な手続き です。

2. 【最重要】申請区分と手数料の違い

業種追加で最も混乱しやすいのが、申請区分によって手数料が変わる 点です。ここを正確に理解することが、無駄な手数料を払わないための第一歩です。

一般建設業と特定建設業のおさらい

  • 一般建設業(般):下請に出す金額が4,500万円未満(建築一式は7,000万円未満)
  • 特定建設業(特):元請として下請に出す金額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)

申請区分ごとの手数料

申請区分具体例手数料
業種追加(既存と同じ区分内で追加)一般で「とび土工」を持つ業者が、一般で「解体工事業」を追加50,000円
般・特新規(既存と違う区分での追加)一般で建設業許可を持つ業者が、特定建設業の業種を初めて追加90,000円
業種追加+般・特新規の同時申請一般追加と特定追加を同時に申請各々合算

業種追加は50,000円だが、般・特新規なら90,000円

「業種を追加すれば一律50,000円」と思っていると、特定建設業を初めて取得する場合には90,000円が必要 になります。事業計画に応じて、どちらの区分で追加するかを事前に検討することが重要です。

一般建設業と特定建設業の違いや、事業計画に応じた許可区分の選び方については建設業許可の500万円ルールの記事もご覧ください。

3. 業種追加に必要な要件

業種追加の要件は、基本的には 新規許可と同じ5要件 ですが、実務上は 既存許可で満たしている要件は活用可能 です。

要件業種追加時の扱い
① 経営業務の管理責任者等既存の経管をそのまま活用(新たな経管不要)
② 専任技術者追加業種に対応した専任技術者が新たに必要
③ 誠実性既存の要件充足がそのまま活用可能
④ 財産的基礎既存の要件充足がそのまま活用可能(般追加時)
⑤ 欠格要件に該当しない変更がなければ既存の充足で対応

業種追加で最大の関門は「専任技術者」

業種ごとに、必要な 専任技術者の資格・実務経験 が定められています。追加する業種に対応した専任技術者を確保できないと、業種追加はできません。

  • 既存の専任技術者が 複数業種を兼務可能 な場合もある
  • 追加業種の専任技術者を 新規に採用・確保 する必要があるケースも
  • 実務経験10年 による専任技術者の場合、業種ごとに10年の実務経験が必要

専任技術者の実務経験の証明については建設業許可の専任技術者になる方法の記事もご覧ください。証明が難しいケースの対応も解説しています。

特定建設業の業種追加は要件がさらに厳格

特定建設業の業種を追加する場合、専任技術者の資格要件・財産的基礎要件がさらに厳しく なります。

  • 一級国家資格者などが必要(一般よりハードル高)
  • 資本金2,000万円以上・純資産4,000万円以上等の財産的基礎

特定建設業の要件は複雑なので、追加を検討する段階で詳しい要件確認をおすすめします。

4. 必要書類

業種追加の申請に必要な主な書類です。既存許可の申請時と比べ、既に提出済みで変更のない書類は省略できる場合があります。

書類備考
建設業許可申請書(業種追加用)千葉県の様式
別紙一覧(役員・専任技術者等の一覧)追加業種に対応した内容
工事経歴書追加業種の直近の工事実績
専任技術者の証明書類追加業種に対応した資格証、実務経験証明書等(最重要
専任技術者の常勤性を示す書類健康保険証、雇用保険被保険者証等
財務諸表(般・特新規の場合)特定建設業の財産的基礎確認
直前3年の各事業年度における工事施工金額必要に応じて
手数料納付済証50,000円または90,000円

業種追加時の書類は「追加業種の要件充足」が焦点

新規許可と同じ書類を一式揃えるわけではなく、追加業種の要件を満たすことを証明する書類 が中心になります。特に 専任技術者の資格・常勤性の証明 は、業種追加の可否を決する最重要書類です。

5. 手続きの流れ

手続きの流れ

STEP 1|要件確認・事前診断

追加したい業種の要件(特に専任技術者)を満たせるかを確認します。実務経験による証明が必要な場合は、書類の準備状況も確認します。

STEP 2|専任技術者の確保

追加業種に対応した専任技術者を確保します。既存の技術者で兼務可能かの確認、または新たな採用・資格取得の準備を行います。

STEP 3|必要書類の準備

千葉県の様式に沿って申請書類を作成し、専任技術者の証明書類など添付資料を揃えます。

STEP 4|申請書類の提出

千葉県の窓口(県土整備部 建設・不動産業課、または各地域振興事務所)へ申請書と手数料を提出します。

STEP 5|審査

書類審査が行われます。書類不備があると補正が求められ、審査期間が延びます。

STEP 6|許可証の受領

審査通過後、業種追加された許可証(副本)が交付されます。許可交付後から、追加業種の500万円以上の工事が請け負い可能 になります。

6. 費用と期間

費用

項目金額
業種追加の手数料50,000円(同区分での追加)または 90,000円(般・特新規)
専任技術者の資格取得費用案件により変動
行政書士報酬事務所・案件により変動

期間

段階期間の目安
事前診断・書類準備数週間〜1ヶ月
申請〜審査約2〜3ヶ月
全体の目安3〜4ヶ月程度

「追加業種の見積依頼を受けたので急いで対応したい」と思っても、業種追加には最低でも2〜3ヶ月かかります。事業計画の早い段階で準備を始めることが重要です。

7. 「業種追加+更新」の一体申請という選択肢

既存許可の残存期間が短い場合の対応

業種追加を検討している時点で、既存の建設業許可の有効期間が残り少ない(半年〜1年程度)ケースがあります。この場合、業種追加と更新を別々に申請するより、「業種追加+更新の一体申請」 を行うのが効率的です。

一体申請のメリット

  • 書類作成の重複を省ける
  • 手続きが一本化される
  • コスト(行政書士報酬)の削減効果
  • 更新後の許可有効期間(5年)の起算が揃う

一体申請の注意点

  • 更新の要件をすべて満たしていることが前提
  • 決算変更届が未提出だと、更新自体ができない(業種追加もできない)
  • 事前準備は通常より入念に

決算変更届は業種追加・更新の前提条件となる重要な手続きです。詳しくは建設業許可の決算変更届(事業年度終了届)とはの記事もご覧ください。

8. 業種追加でよくある失敗と対策

失敗1|専任技術者を確保する前に申請してしまう

対策:専任技術者を配置できる体制を整えてから 申請を始める。「後から採用する」では受理されません。

失敗2|同じ人が複数業種の専任技術者を兼務できると誤解

対策:業種ごとに 兼務可能な組み合わせ が定められています。事前確認が必須です。

失敗3|特定建設業と一般建設業の混同

対策:追加業種をどの区分で取得するかを、事業計画と合わせて決定します。手数料も異なります。

失敗4|決算変更届が未提出で業種追加ができない

対策:業種追加の前に、過去分の決算変更届がすべて提出されている必要 があります。未提出があれば先に対応します。

失敗5|取引に間に合わなかった

対策:業種追加には 2〜3ヶ月かかる ため、取引の見込みが立った早期の段階で準備を始めます。

失敗6|複数の許可申請を並行できずタイミングを逃す

対策:会社設立・他業種の許可・産廃許可などを 同時並行で計画的に進める。当事務所では複数許認可の同時進行を得意としています。詳しくは会社設立と建設業・産廃・宅建の許認可を同時取得する方法の記事もご覧ください。

9. よくあるご質問

Q1. 業種追加の手数料はいくらですか?

同じ区分内(一般→一般 or 特定→特定) で追加するなら 50,000円、区分を新規に取得(一般業者が特定を追加)するなら 90,000円 です。

Q2. 業種追加に経営業務の管理責任者は新たに必要ですか?

不要です。既存の経管をそのまま活用できます。経管の要件については建設業許可の経営業務管理責任者になる方法の記事もご覧ください。

Q3. 業種追加にはどのくらい期間がかかりますか?

書類提出後の審査期間は 約2〜3ヶ月、事前準備を含めると 3〜4ヶ月 を見込んでください。取引の見込みが立ったら早めに動くのがポイントです。

Q4. 業種追加と更新を同時にできますか?

可能です。既存許可の残存期間が短い場合は 「業種追加+更新」の一体申請 が効率的です。ただし更新要件をすべて満たす必要があります。

Q5. 同じ専任技術者を複数業種で兼務できますか?

業種によって組み合わせが定められています。技術者の資格や経験によって兼務可能な業種が異なるので、事前確認が必要です。

Q6. 解体工事業を追加したいのですが、注意点はありますか?

解体工事業は専任技術者要件に 登録解体工事講習の修了 が求められるケースが多く、既存の資格に追加の講習修了が必要な場合があります。解体業関連の詳細は解体業者が取るべき許可・許認可まとめの記事もご覧ください。

Q7. 特定建設業の業種追加は難しいですか?

一般建設業より 専任技術者・財産的基礎の要件が厳格 です。専任技術者は一級国家資格者が中心、財産的基礎は資本金2,000万円以上等が必要。事前診断でクリアできるか確認します。

Q8. 千葉県以外でも対応してもらえますか?

全国対応可能です。千葉県・東京都・埼玉県・茨城県は即日訪問対応、その他の地域もオンライン・郵送で完結します。

10. まとめ

建設業許可の業種追加は、

  • 申請区分により手数料が異なる(50,000円 or 90,000円)
  • 最大の関門は 追加業種に対応した専任技術者の確保
  • 経管は既存を活用可能(新規配置不要)
  • 審査期間は 2〜3ヶ月、全体で3〜4ヶ月
  • 既存許可の残存期間が短ければ 「業種追加+更新」の一体申請 が有利
  • 決算変更届が未提出だと業種追加もできない(更新も同様)

というポイントを押さえ、事業計画から逆算して早めに準備することが重要です。

「業種追加を検討しているが専任技術者の要件をクリアできるか不安」「既存の建設業許可に他業種を追加して事業を拡大したい」「業種追加と更新を同時に進めたい」「決算変更届が未提出で困っている」——どんな段階のお問い合わせも、お気軽にどうぞ。

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