「解体業を始めたいけれど、どんな許可が必要?」 「小さな解体工事から大規模な物件まで、幅広く受けたい」 「産業廃棄物の運搬も自社でやりたい」

解体業は、建物や構造物を安全・適法に解体するために、複数の許可・許認可 が絡み合う専門性の高い業種です。

  • 解体工事業登録(500万円未満の建築物解体工事)
  • 建設業許可(解体工事業)(500万円以上の解体工事)
  • 産業廃棄物収集運搬業許可(他社の解体廃棄物を運搬する場合)
  • 建設リサイクル法 の届出(80㎡以上の建築物解体等)
  • 石綿(アスベスト)関連の届出(2022年4月から義務化・強化)

「何をいつまでに取ればいいのか」を正確に把握し、事業計画に合わせて 段階的に取得 していくことが、解体業成功の第一歩です。

この記事では、行政書士の視点から、

  • 解体業に必要な許可・許認可の全体像
  • 解体工事業登録と建設業許可(解体工事業)の使い分け
  • 産廃収集運搬業許可が必要になるケース
  • 建設リサイクル法・石綿規制など見落としがちな義務
  • 複数許可を同時取得するメリット

までを、実務で使える形で解説します。

1. 解体業者に必要な許可・許認可の全体像

解体業者に必要な許可・許認可の全体像

解体業者に必要な許可・許認可を、対象工事の規模・業務内容ごとに整理すると、以下のようになります。

許可・許認可対象根拠法令
解体工事業登録建築物の解体工事で請負金額500万円未満(税込)建設リサイクル法
建設業許可(解体工事業)建築物の解体工事で請負金額500万円以上(税込)建設業法
産業廃棄物収集運搬業許可他社の解体廃棄物を運搬する場合廃棄物処理法
建設リサイクル法の届出一定規模以上の解体工事(80㎡以上の建築物解体等)建設リサイクル法
石綿関連の届出・調査建物の解体・改修工事すべて(2022年4月以降強化)大気汚染防止法・石綿障害予防規則

重要:これらは併存する制度で、事業内容や工事規模に応じて 複数を同時に満たす必要 があります。「登録だけ取ればいい」「許可だけ取ればいい」というものではありません。

2. 解体工事業登録と建設業許可(解体工事業)の使い分け

解体業者が最も混同しやすいのが、「解体工事業登録」「建設業許可(解体工事業)」 の違いです。

項目解体工事業登録建設業許可(解体工事業)
対象工事建築物の解体で 請負金額500万円未満(税込)建築物の解体で 請負金額500万円以上(税込)
根拠法令建設リサイクル法建設業法
登録・許可先都道府県知事都道府県知事または国土交通大臣
有効期間5年5年
登録・許可単位工事を行う都道府県ごと営業所単位(1都道府県なら知事許可)
技術者要件技術管理者(一定の資格・実務経験)専任技術者(資格・実務経験)
費用比較的安価手数料90,000円(新規知事許可)

どちらを取るべきか

  • 小規模な解体のみを請け負う → 解体工事業登録で十分
  • 500万円以上の解体を請け負う可能性がある → 建設業許可(解体工事業)が必要
  • 大規模工事に本格参入・元請受注も見据える → 建設業許可を早めに取得

建設業許可があれば、500万円未満・500万円以上のすべての解体工事を請け負えます。事業拡大を視野に入れるなら、最初から建設業許可を目指すのが賢明な選択です。建設業許可の詳細は関連記事「[建設業許可の500万円ルール]」もご覧ください。

3. 解体工事業登録の要件と手続き

解体工事業登録の要件と手続き

主な登録要件

要件内容
技術管理者の設置一定の資格または実務経験を持つ者を配置
欠格要件に該当しない法定の欠格事由がないこと

技術管理者の資格例

  • 1級・2級土木施工管理技士
  • 1級・2級建築施工管理技士
  • 1級・2級建築士
  • 技術士(一定分野)
  • 解体工事施工技士(登録解体工事講習修了者)
  • 一定の実務経験(学歴により2〜8年)

手続きの流れ

  1. 登録申請書類の作成
  2. 工事を行う都道府県知事へ登録申請
  3. 審査
  4. 登録通知の受領

工事を行う都道府県ごとに登録が必要なため、複数県で工事する場合は 各県への登録 が必要です。

4. 建設業許可(解体工事業)の要件と手続き

5つの基本要件

#要件内容
1経営業務の管理責任者等建設業の経営経験を持つ常勤役員等
2専任技術者解体工事業に対応した資格または実務経験
3誠実性不正・不誠実な行為のおそれがないこと
4財産的基礎自己資本500万円以上(一般建設業)
5欠格要件に該当しない法定の欠格事由がないこと

専任技術者の要件

解体工事業の専任技術者になれる主な資格:

  • 1級土木施工管理技士(種別「土木」)+登録解体工事講習
  • 2級土木施工管理技士(種別「土木」)+登録解体工事講習
  • 1級建築施工管理技士+登録解体工事講習
  • 2級建築施工管理技士(種別「建築」または「躯体」)+登録解体工事講習
  • 一級建築士+登録解体工事講習
  • 技術士(建設部門)+登録解体工事講習
  • 解体工事の実務経験10年以上(一定条件下)

登録解体工事講習 は、多くの資格で解体工事業の専任技術者になる要件として求められます。「登録解体工事講習を修了しているか」の確認が重要です。

経営業務管理責任者・専任技術者の証明

「経管や専任技術者の要件をクリアできるか不安」という方は、関連記事「[建設業許可の経営業務管理責任者になる方法]」「[建設業許可の専任技術者になる方法]」も併せてご確認ください。証明資料の集め方から解説しています。

建設業許可、宅建免許、産廃許可取得

5. 産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケース

解体工事で発生する廃材(コンクリート塊・木くず・金属くず等)は、産業廃棄物 に該当します。この運搬に関して、産廃許可が必要かどうか は、多くの解体業者が迷うポイントです。

自社運搬(原則、許可不要)

自社の解体工事で自ら発生させた産業廃棄物を、自社の車両で運ぶ 場合は、原則として産業廃棄物収集運搬業許可は不要です(自社運搬の例外)。ただし、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 自らが排出事業者であること
  • 運搬車両に事業者名・産業廃棄物運搬車である旨等を表示
  • 運搬に関する書面を車両に備え付け
  • 積替え保管を行わない

他社の解体廃棄物を運ぶ場合(許可必要)

元請から下請として運搬のみを請け負う場合や、他社の解体廃棄物を運搬する場合 は、産業廃棄物収集運搬業許可が 必須 です。無許可運搬は、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 という重い罰則の対象となります。

複数県で運搬する場合

産廃許可は、積込み地と荷下ろし地の双方の都道府県 で必要です。事業エリアを広げる場合、複数県のまとめ申請が効率的です。詳しくは関連記事「[産業廃棄物収集運搬業の複数都道府県まとめ申請]」をご覧ください。

解体業者が事業拡大を進める過程で、産廃許可が必要になるケースは非常に多くあります。建設業許可と産廃許可の 同時取得 も、当事務所で対応可能です。

6. 建設リサイクル法の届出義務

建設リサイクル法 は、一定規模以上の解体工事について、分別解体・特定建設資材の再資源化 を義務付ける法律です。解体工事を請け負う事業者にとって、極めて重要な規制です。

届出対象となる工事

工事の種類対象規模
建築物の解体工事床面積の合計 80㎡以上
建築物の新築・増築工事床面積の合計500㎡以上
建築物の修繕・模様替え工事請負金額1億円以上
その他の工作物の工事請負金額500万円以上

発注者による事前届出

発注者(発注する側) が、工事開始の 7日前まで に、都道府県知事等に届け出る必要があります。実務上は、解体業者が発注者に代わって届出書類を作成・提出することが多くなっています。

事前説明・書面契約の義務

解体業者は、契約前に発注者に対して 分別解体等の計画 を書面で説明し、契約書に一定事項を記載する義務があります。届出漏れ・説明義務違反は、行政指導・罰則の対象 となります。

7. 石綿(アスベスト)関連の届出義務

2022年4月から、大気汚染防止法・石綿障害予防規則が改正・強化 され、解体・改修工事における石綿対策が大きく変わりました。

事前調査の義務化

すべての建築物・工作物の解体・改修工事 について、石綿含有建材の使用有無の 事前調査 が義務付けられています(規模に関わらず)。

事前調査結果の報告義務

一定規模以上の工事(解体工事80㎡以上、改修工事の請負金額100万円以上等)について、事前調査結果を 労働基準監督署および都道府県等 に報告する義務があります。

石綿含有建材が判明した場合

石綿含有建材が使用されている場合、除去作業の届出、有資格者による作業計画の策定・実施、飛散防止措置 など、厳格な手続きが必要です。届出漏れ・作業不備は 重大な法令違反 となります。

石綿対策は解体工事における重要な法的責任です。事前調査から届出、対応まで、法令に沿って確実に進める必要があります。

8. 会社設立と許認可の同時取得で開業を最短化

これから解体業で 新たに法人を設立 する場合、会社設立と各種許可を同時並行で進める ことで、開業を大きく早められます。

同時取得の効果

進め方開業までの目安
別々に段階的に進める会社設立完了後に許可申請→ 合計6〜8ヶ月
同時並行で進める設立準備と許可準備を並行 → 合計3〜4ヶ月

設立時の設計ポイント

  • 資本金:建設業許可(解体)を取るなら 500万円以上 の設定が有利
  • 事業目的:定款に「解体工事業」「産業廃棄物収集運搬業」等を明記
  • 役員構成:経管・専任技術者となる人物を役員に配置

詳しくは関連記事「[会社設立と建設業・産廃・宅建の許認可を同時取得する方法]」をご覧ください。設計段階からのサポートで、開業スケジュールを最短化できます。

個人事業から法人成りする場合

個人事業として解体業を営んでいた方が法人化する場合、許可は自動的に法人に引き継がれず、法人で取り直し が必要です。空白期間を作らずに移行するには、計画的な段取りが不可欠です。関連記事「[個人事業主が法人成りするベストタイミング]」も併せてご覧ください。

9. よくあるご質問

Q1. 解体工事業登録と建設業許可(解体工事業)、どちらから始めるべきですか?

今後の事業計画次第です。500万円未満の解体のみに絞る なら登録で十分。将来的に500万円以上の工事も受けたい・元請にも進出したい なら、最初から建設業許可を目指すべきです。

Q2. 自社の解体工事の廃材を、自社のトラックで運びます。産廃許可は必要ですか?

原則として不要です(自社運搬の例外)。ただし、運搬車両への表示・書類の携行 など、いくつかの条件を満たす必要があります。他社の解体廃棄物を運ぶ場合は許可が必須です。

Q3. 建設業許可と産廃許可を同時に取れますか?

はい。解体業者様に多いパターンで、当事務所でも対応実績が豊富です。会社設立との同時進行も可能で、開業を大きく早められます

Q4. 石綿の事前調査は、小規模な工事でも必要ですか?

はい。規模に関わらず、すべての解体・改修工事で事前調査が義務 です(2022年4月から)。ただし、報告義務があるのは一定規模以上(解体80㎡以上、改修100万円以上等)です。

Q5. 建設リサイクル法の届出は、発注者と解体業者、どちらがするのですか?

法律上の届出義務は発注者 ですが、実務上は解体業者が発注者に代わって書類を作成・提出することが一般的です。

Q6. 経管や専任技術者の要件を満たせるか不安です。相談できますか?

はい。「他事務所で難しいと言われた」ケースも含めて対応しています。キャリアの棚卸しから、証明ルートの設計まで サポートします。

Q7. 千葉県以外でも対応してもらえますか?

全国対応可能です。千葉県・東京都・埼玉県・茨城県は即日訪問対応、その他の地域もオンライン・郵送で完結します。

10. まとめ

解体業者に必要な許可・許認可は、

  • 解体工事業登録(500万円未満)と 建設業許可・解体工事業(500万円以上)
  • 他社の解体廃棄物を運ぶなら 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 一定規模以上の解体工事は 建設リサイクル法の届出
  • 2022年強化された 石綿関連の事前調査・届出

という 複数の制度が併存 します。事業計画・請け負う工事規模・エリアに応じて、必要な許可・許認可を 正確に判定 し、段階的または同時並行 で取得していくことが重要です。

特に、建設業許可+産廃許可+会社設立を同時進行 することで、開業や事業拡大を大きく早められます。個別の手続きを別々の事務所に依頼するより、5業務すべてに対応できる行政書士 に一括依頼する方が、時間・コスト・確実性のすべての面で有利です。

「解体業で開業したい」「今の登録から建設業許可にステップアップしたい」「産廃許可も同時に取りたい」「会社設立から一括で頼みたい」——どんな段階のお問い合わせも、お気軽にどうぞ。

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  • 建設業(解体工事業)+産廃許可の同時取得に対応
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