建設業の現場に掲げられている「許可票」——いわゆる 建設業の看板 を見たことがある方は多いはずです。
しかし、
「看板にはどんな項目を書けばよいのか?」 「サイズや材質に決まりはあるのか?」 「店舗用と現場用で何が違う?」 「掲示しないと罰則はあるのか?」
こうした疑問に正確に答えられる方は、意外に少ないのではないでしょうか。
建設業許可票は、建設業法で掲示が義務付けられた法定看板 です。掲示しない、記載内容が間違っている、サイズが規定を満たさない——どれも 10万円以下の過料 という罰則の対象になります。
この記事では、行政書士の視点から、
- 建設業許可票(看板)の記載事項・サイズ規定・掲示場所
- 店舗用と現場用の違い
- 看板の作成方法と費用相場
- 許可証明書の取得方法
- 建設業許可業者の検索方法
- 許可取得の条件と更新手続き
までを、実務で使える形で網羅的に解説します。
1. 建設業許可票(看板)とは
建設業許可票は、建設業法第40条で 掲示が義務付けられている法定看板 です。「建設業の許可票」「金看板」などとも呼ばれます。
掲示が義務付けられる場所
| 掲示場所 | 内容 |
|---|---|
| 店舗(営業所) | 建設業を営む全営業所に掲示。来訪者が見やすい場所が原則 |
| 建設工事の現場 | 工事現場のうち、公衆の見やすい場所に掲示 |
つまり、建設業許可業者は 「店舗用」と「現場用」の2種類の許可票を用意し、それぞれ適切な場所に掲示する必要 があります。
看板掲示の目的
- 建設業者が許可を取得していることを、発注者・地域住民・関係者へ周知する
- 工事責任の所在を明確化する
- 無許可業者との差別化と信頼性の担保
「金看板」と呼ばれるのは、金属製の重厚なデザインの看板が伝統的に使われてきたためです。現在は素材に制限はありませんが、屋外耐久性の高いものが選ばれます。
2. 建設業許可票の記載事項【店舗用・現場用の違い】
建設業法施行規則第25条で、店舗用と現場用それぞれの記載事項が定められています。
店舗用(営業所)の記載事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 一般建設業/特定建設業の別 | どちらの許可かを明示 |
| ② 許可年月日・許可番号 | 取得・更新年月日、許可番号 |
| ③ 許可を受けた建設業 | 29業種のうち、許可を受けている業種 |
| ④ 商号または名称 | 法人名または個人事業主名 |
| ⑤ 代表者の氏名 | 法人代表者または個人事業主の氏名 |
現場用(工事現場)の記載事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 一般建設業/特定建設業の別 | どちらの許可かを明示 |
| ② 許可年月日・許可番号 | 取得・更新年月日、許可番号 |
| ③ 許可を受けた建設業 | 該当工事に関する業種 |
| ④ 商号または名称 | 法人名または個人事業主名 |
| ⑤ 代表者の氏名 | 法人代表者または個人事業主の氏名 |
| ⑥ 主任技術者または監理技術者の氏名 | 現場用のみ追加 |
| ⑦ 主任技術者・監理技術者の 専任の有無 | 現場用のみ追加 |
| ⑧ 主任技術者・監理技術者の 資格名と資格者証交付番号 | 現場用のみ追加 |
重要な違い:現場用は技術者情報を追加
現場用は、実際の施工責任者である技術者の情報 を追加で記載する必要があります。工事ごとに技術者が変わる場合は、看板の差し替えも必要です。
3. 建設業許可票のサイズ規定
看板のサイズは、建設業法施行規則第25条で 最低サイズが明確に定められています。
サイズ規定一覧
| 種類 | 縦 | 横 |
|---|---|---|
| 店舗用 | 35cm以上 | 40cm以上 |
| 現場用 | 25cm以上 | 35cm以上 |
重要:このサイズは 最低基準 であり、これを下回ると違反となります。素材・色・デザインに制限はありませんが、雨風や直射日光に耐え、文字が消えにくい素材を選ぶのが一般的です。
看板を作る際のチェックリスト
- 縦・横のサイズが規定を満たしているか
- 記載事項に漏れがないか
- 文字が消えにくい素材・印刷方法か
- 屋外設置の場合、耐候性があるか
- 公衆が見やすい位置に設置できるか
4. 看板の作成方法と費用相場
作成方法は主に3パターン
パターン1|看板業者へ発注
- 費用:5,000円〜30,000円程度(素材・サイズによる)
- メリット:プロ品質、長期間使える
- デメリット:納期が数日〜2週間程度
パターン2|オンライン注文(楽天・Amazon等)
- 費用:3,000円〜15,000円程度
- メリット:手軽、テンプレートあり
- デメリット:オプションが限られる場合あり
パターン3|自作(プリンタ出力+ラミネート等)
- 費用:1,000円程度〜
- メリット:最も安価
- デメリット:耐久性が低い、見栄えが悪い
おすすめは「看板業者への発注」
許可票は 5年以上同じものを使い続ける ことが多く、現場に出る看板であれば耐候性が必須です。コストと品質のバランスを考えると、看板業者への発注がおすすめです。「建設業 許可票」で検索すると、専門業者が多数見つかります。
5. 掲示義務違反の罰則
建設業許可票の掲示は、建設業法第40条で義務付けられています。違反した場合の罰則は次のとおりです。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 看板を掲示していない | 10万円以下の過料(建設業法第55条) |
| 記載事項に誤りがある | 同上 |
| サイズが規定を満たさない | 同上 |
| 公衆の見やすい場所に掲示していない | 同上 |
過料は刑事罰ではありませんが、行政処分の一種であり、業者の信用に影響します。また、行政の立入検査時に発覚することが多く、是正指導の対象になります。
看板掲示で起こりがちなミス
- 許可更新後、新しい許可番号への差し替えを忘れる
- 役員変更や商号変更後、看板の修正を怠る
- 現場ごとに主任技術者が変わるのに、看板を差し替えない
- サイズが規定より小さい簡易プレートを使ってしまう
これらは行政書士へ更新申請を依頼する際に、合わせて看板の見直しを相談することで防げます。
6. 建設業許可証明書の取得方法
建設業許可を受けると、許可通知書(または 許可証)が交付されます。これは入札参加や金融機関への提出に使うことが多い書類です。
主な証明書の種類
1. 建設業許可通知書
- 許可取得時に交付される正式書類
- 紛失した場合の再発行は不可(再発行制度なし)
2. 許可証明書
- 都道府県知事または国土交通大臣が発行する証明書
- 入札参加や金融機関提出など、第三者へ許可を証明する用途
- 発行手数料:都道府県により異なる(数百円〜400円程度)
許可証明書の取得方法
| 取得方法 | 内容 |
|---|---|
| 窓口申請 | 知事許可は都道府県庁の建設業課、大臣許可は地方整備局へ |
| 郵送申請 | 申請書・手数料分の収入印紙・返信用封筒を同封 |
| オンライン申請 | 一部の都道府県で対応 |
入札参加や金融機関への提出で証明書が必要になることが多いため、複数枚まとめて取得しておくのが効率的です。
7. 建設業許可業者の検索方法
業者が許可を持っているか、自社の許可情報が正しく登録されているかを確認するには、以下の2つのルートが基本です。
国土交通省の検索システム
「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」 URL: https://etsuran2.mlit.go.jp/
- 全国すべての建設業許可業者を一元検索
- 無料、誰でも利用可能
- 業者名・許可番号・所在地で検索できる
各都道府県の建設業者名簿
都道府県のウェブサイトで公開されている許可業者一覧。 地域に密着した業者検索に便利です。
詳しい検索手順や検索結果の見方は、別記事「[建設業許可業者の検索方法]」で解説しています。
8. 建設業許可の取得条件(要件と必要書類)
建設業許可を取得するには、以下の 6つの要件をすべて満たす 必要があります。
取得の6要件
要件1|経営業務の管理責任者の設置 建設業の経営経験者を常勤役員等として配置。次のいずれかが必要:
- 建設業の役員等としての経験5年以上
- 建設業以外の役員等の経験5年以上 + 建設業の役員等の経験2年以上
- 建設業の経営を補佐する業務6年以上
要件2|専任技術者の配置 業種ごとの専門技術者を営業所に配置。国家資格・実務経験10年・学歴+実務経験のいずれかのルート。
要件3|誠実性 役員・個人事業主とその使用人が、契約に関して不誠実な行為をしないこと。
要件4|財産的基礎または金銭的信用
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 一般建設業 | 自己資本500万円以上 または 500万円以上の資金調達能力 |
| 特定建設業 | 資本金2,000万円以上 + 自己資本4,000万円以上 + 流動比率75%以上 + 欠損額が資本金の20%を超えないこと |
要件5|欠格要件に該当しないこと 役員等が過去に重大な法令違反、暴力団関係、禁固以上の刑などに該当していないこと。
要件6|社会保険への加入(2020年10月から要件化) 健康保険・厚生年金・雇用保険への適切な加入。
必要書類の主なもの
- 建設業許可申請書
- 経営業務管理責任者・専任技術者の資格証明書類
- 会社の登記事項証明書
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書)
- 納税証明書
- 営業所の使用権原を証明する書類
- 工事経歴書
- 役員等の住民票・身分証明書 など
都道府県・国により申請書式や添付書類が異なります。詳細は管轄行政庁の建設業課または行政書士へご相談ください。
9. 許可の有効期限と更新手続き
有効期限は5年間
建設業許可の有効期間は 5年間。期限を1日でも過ぎると失効し、新規申請のやり直しが必要です。
更新手続きの流れ
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 満了の6ヶ月前 | 更新準備開始(書類収集・要件確認) |
| 満了の3ヶ月前〜30日前 | 更新申請の提出期間 |
| 申請後 | 審査(数週間〜数ヶ月) |
| 更新許可 | 新しい許可票への差し替え |
更新時の確認事項
- 経営業務の管理責任者・専任技術者が要件を満たし続けているか
- 財産的基礎は維持されているか
- 社会保険の加入状況に変更はないか
- 毎年の決算変更届を提出しているか(未提出だと更新できません)
更新を忘れた場合
許可が失効し、新規申請のやり直しが必要になります。再申請までの期間は建設業が営めず、実績の継続性も途切れるため、経営事項審査・入札参加への影響が大きいです。
10. まとめ
建設業許可票(看板)は、単なる飾りではなく、建設業法で定められた法定看板 です。
- 記載事項を漏れなく
- 規定サイズ以上で
- 店舗と現場の両方に
- 見やすい場所へ
掲示することが、建設業者としての義務であり、信用の証となります。
そして看板の前提となる 建設業許可の取得・維持・更新 も、長期的な事業継続のためには欠かせない手続きです。要件は2020年・2023年の法改正で見直されており、最新の情報をもとに準備することが重要になっています。
「これから許可を取りたい」「更新時期が近づいてきた」「看板の記載内容が古いままだ」——どんな段階のご相談も、お気軽にお問い合わせください。
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